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三宅登之 ― 文法を研究してますけど何か? ―

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2008年 05月 26日

「ぼったくる」と「ぶったくる」

国語辞典を眺めていると、「ぶったくる」という語が視界に入ってきた。(←紙辞書だからできること。)

ぶったくる【打っ手繰る】①強引に奪い取る。ひったくる。「バッグを―・られる」②法外に高い代金をとる。ふんだくる。ぼる。「バーで―・られる」(『明鏡国語辞典』大修館書店)

私は母語は広島方言で、標準語は大学入学で東京に来てから学習したものである。それでも東京で暮らしてもう長い年月がたっているが、恥ずかしながら、上記「ぶったくる」という語彙は、私は知らなかった。人が使っているのを聞いたら、文脈からなんとなく意味を推測できるかもしれないが、少なくとも自分では絶対に使わない。

では自分ならどう言うか。
私ならこれは間違いなく「ぼったくる」と言うと思うのである。だから、「ぶったくる」という聞きなれない語彙が目に入ってきたとき、「ぼったくる」の間違いなんじゃないのかと疑ったくらいである。ところが辞書を引くと「ぼったくる」は掲載されていない。

電子辞書に、ヒントらしいものを見つけた。ボタンを「ぼったく」まで押していったところで、画面に「ぼったくり」が出てきたのである。(←電子辞書だからできること。)

ぼったくり
物やサービスを提供する者が、消費者から不当に高額な対価を請求する行為。低料金に見せかけた勧誘を行い、実際には高い料金を請求するなど。〔盗人の隠語で「かっぱらい」、また大阪方言の「ぼったくる(=無理に奪いとる、ふんだくる)」からか〕(『スーパー大辞林』三省堂)

最後の「大阪方言の~」の箇所に注目したい。私の語感では、広島方言にもそれは存在する。そうすると、「ぶったくる」を見て「ぼったくる」じゃないかと思ったのは、私の広島方言の影響か。(それにしてもことばを知らなくて恥ずかしい。反省。)

# by sanzhai | 2008-05-26 23:31 | 日本語や英語について
2008年 05月 26日

“本子”の量詞

“本子”(ノート)の量詞として、小学館『中日辞典第2版』などには“个”しか載っていないものだから、私は“个”だと刷り込まれていたのだが、他辞書に“个”と“本”の両者があるものもあることからわかるように、まあ“个”と“本”の両方とも言えることは言えるのである。

では初級段階でとりあえずどっちで教えればよいか。まあ両方教えればよいのだが、まずどちらかを先に覚えさせるとした場合、どうするか。

手元にある中国で出た工具書の“本子”の項目から、量詞がついた用例を以下いくつか抜き出してみる。(“种”“些”の例は除く。)

一个本子
买个本子
买个小本子
订了一个本子
这个本子送给你作个纪念吧
他买了几个本子,上课时用来记笔记
我用这个本子做作业
这个本子的质量好,在上面写字感觉很舒服。
那个本子的封皮真好看
这个本子很厚

这位老师每周要改几十本本子

と、アトランダムに抜き出してみると、“个”を使った用例が10あったのに対し、“本”を使った用例は1つしかなかった。
もちろん、『现代汉语名词量词搭配词典』(浙江教育出版社1989)のように、“本子”の量詞として、“个”と“本”の両者を明記しているものもあるが、『学汉语用例词典』(北京语言大学出版社2005)のように、[量]として量詞情報を明示する工具書で“个”“种”しか記載されていないものもある。
ただ、上記の用例数の偏りの原因を考えると、“个”の方がより常用されるという傾向が用例選択に反映されているのではないか。

金曜日に非常勤先でネイティブの先生に聞いてみても、
「“一个本子”と“一本本子”はどちらも言えることは言えるが、“一本本子”は“ben”の音がダブってくどい印象があるので、“一个本子”の方をよく使う」
という意見をおっしゃっていたので、やはり初級では“本子”の量詞はまずは“个”で教えるべきであろうと考えた。

# by sanzhai | 2008-05-26 00:38 | 中国語の疑問や気づき
2008年 05月 20日

動詞の意味を決定するための背景知識

今日の大学院博士後期では引き続き沈家煊2000《句式和配价》を読む。

以下のような例が挙がっている。

(1) 他扔我一只球。
(2) 他扔我一支烟。
(3) ?他扔我一支铅笔。
(4) ??他扔我一台收音机。

この適格性の差は、動詞“扔”の意味はICM(理想認知モデル。語の意味を決定するための背景にある百科辞典的知識)を構成しており、その中に次のような背景知識が含まれているからだという。

人们经常扔球给别人接,扔烟给别人抽等,但不经常扔铅笔给别人写、扔收音机给别人听。

ただ、記録として記しておくが、(1)もそもそも“给”を付けないと言えないという意見があったのは以前書いた通りだし、(3)は自然に言えて、逆に(2)は不自然だとするネイティブもいた。また、

(5)我写给他一封信。
(6)*我写给他一副春联。 (朱德熙1979文例)

の根拠は

“写”的ICM包括我们经常写信给人,但不包括经常写春联给人。

だと述べるが、こちらも(6)は問題なく言えるとするネイティブもいた。

結局この判定のばらつきは、「理想認知モデル」の「理想」を取り払って、文ごとに各人が様々な背景を想定しているからか。よくわからないが。

# by sanzhai | 2008-05-20 22:06 | 中国語の疑問や気づき
2008年 05月 19日

科研報告書

友人たちと一緒にやっていた科研の報告書が出ました。(というかもうだいぶ前に出ています。)

『平成18年度~19年度科学研究費補助金(基盤研究(C))研究成果報告書
第二言語学習の視点からの中国語辞書の検証』
課題番号:18520434
研究代表者:山崎直樹(関西大学外国語教育研究機構)
2008年3月発行

おかげ様で私の論文も2本掲載させていただきました。
科研を一緒にやった皆さん、中でも特に代表の山崎先生にはただただ感謝です。

# by sanzhai | 2008-05-19 23:30 | 中国語の疑問や気づき
2008年 05月 18日

怒涛の深夜帰宅

先週は、18日(火)に6時から会議があり帰宅が9時半くらいになったのから予兆はあった。

翌日水曜日は教授会や雑務の後、某専攻語と某専攻語の某先生たち、私を入れて計4名で9時くらいからアルコールが入り…午前2時まで。帰宅は(たぶん)午前3時頃。_| ̄|○

木曜日は純粋に仕事(秘密工作)で帰宅は夜12時半頃。

金曜日は非常勤先で1限から3限まで授業をした後、本務校に移動、院生など教え子数人に、雑誌郵送分の封筒つめなどの作業を手伝ってもらう。仕事終了後、お疲れ様とビールを飲み始める。水・木と遅くなったので、この日は1時間程度喉を潤して7時くらいには終わるつもりだった。実際始まると話は盛り上がって、喉が潤うどころか、体中アルコール漬け。帰宅は11時半頃。

こんなことでは、たまには友人たちとお酒でも飲まないとやってられない。(普段から飲んでるか…。)土曜日夜はC大のEさん、N大のIさん、元出版社のKさんといういつもの飲み友だちと赤坂に集結した。
赤坂サカスのベルギービール専門店「デリリウムカフェ レゼルブ」です。
http://www.akasakabiztower-sd.com/shoplist/1f-04.html
怒涛の深夜帰宅_e0145687_22354144.jpg

いやーこの(名前忘れたけど)フルーティーなビール、美味しかったわい。
大いに盛り上がり、ふと気が付くと終電がやばい時間。話とともにお勘定も大いに盛り上がったが、お開きにして大慌てで高田馬場へ。西武新宿線、終電の1本前で助かった。結局この日も帰宅は午前1時頃。

明日からは規則正しい生活を心がけたいものだ。

# by sanzhai | 2008-05-18 22:44 | 日々の気づき