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三宅登之 ― 文法を研究してますけど何か? ―

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2008年 10月 23日

“给他告状”の問題について(続き)

(前回の続き)さて、この問題については朱德熙1982『语法讲义』の言っていること(10.6.4.)が想起される。以下に引用する(147ページ)。

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“说坏话”不能带宾语,所以没有“*说坏话某人”“*说坏话他”的说法。要让受事在句子里出现,可以有以下三种办法∶
(1)让受事作为双宾语构造里的近宾语出现∶说他坏话。
(2)用介词把受事介绍出来∶给他说坏话。
(3)让受事作为准定语出现∶说他的坏话。
―――――

そしてその次にこの3つのパターンの例をいくつか挙げているのだが、介詞“给”を使う言い方が存在する例として、上記の“给他说坏话”以外に、“给我开玩笑”と“给我帮忙”の2つを挙げている(147ページ~148ページ)。

ここで重要なのは、“给他说坏话”の“他”、“给我开玩笑”の“我”、“给我帮忙”の“我”を、朱德熙は動作の受け手という共通した意味役割として扱っているという点である。つまりこの点においては、朱德熙の言っていることと、前のエントリーで書いた李临定の言っていることは、一致していることになる。
そして複数の(といっても2人ですが)中国人が、このような“给”が動作の受け手を導いているとは考えられないと言ったわけである。(もちろん、彼らは李临定の例について言っただけであって、上記の朱德熙の例についても同じ判断を持つかどうかはわからないが。)

ちなみに朱德熙の挙げる“给我帮忙”という言い方については、そもそもそのような言い方を普段あまりしないというネイティブがこれまでに何人かいた。

by sanzhai | 2008-10-23 23:31 | 中国語の疑問や気づき


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