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三宅登之 ― 文法を研究してますけど何か? ―

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2011年 02月 11日

“不想”

曹禺の雷雨をたまたま読んでいたら、次のような台詞が2カ所で出てきます。

―――――

周蘩漪 (前略)你看,妈老了吧?
周冲 不,妈,您想什么?
周蘩漪 我不想什么。
(46ページ)
――――――

鲁贵 你不要骗我,你吃完饭眼神直瞪瞪的,你在想什么?
鲁四凤 我不想什么。
(132ページ)

――――――
(『曹禺文集(第一卷)』中国戏剧出版社,1988年より)

いずれも、「何考えているの?」「いや、別に何も考えていない。」という意味のやり取りだと思いますが、“我不想什么。”というこの言い方、なぜ否定副詞が“不”なのか、ちょっとひっかかります。
「今~をしている」という実現済みの動作の継続を否定しているのですから、“没(有)”での否定の領域であって、“我没想什么。”となるべきではないかなと、思ってしまうのです。

今週火曜日の大学院の授業で中国人留学生の皆さんに聞いてみると、“我不想什么。”というこの言い方は、お年寄りのようなかなり年配の世代が話しているような感じがするという意見が出ました。一方では、ここでの“我不想什么。”の使用は、違和感は感じないという人もいました。なんででしょう…。
例によって探せば先行研究での指摘はあるのでしょうけどね。

by sanzhai | 2011-02-11 11:27 | 中国語の疑問や気づき


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