三宅登之 ― 文法を研究してますけど何か? ―

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2014年 07月 30日

“多么”

今日の国際日本研究センターの夏季セミナーで出た議論。
“多”には疑問の用法があるわけですが、“多么”には、感嘆の用法しかなく、疑問の用法はないという話が出ました。
『现代汉语词典』を見てみました。以下、現代漢語詞典第6版の334ページです。

【多么】用在疑问句里,问程度或数量:
洛阳离这里有多么远?

疑問用法ですから、「洛陽はここからどのくらい遠いですか?」という疑問文です。
もちろん“有多远?”なら何の問題もないのです。ここは“多”ではなく“多么”です。
“有多么远?”のこの疑問文の例、北京からいらっしゃった大学院生に聞いてみたら、「私はこのような言い方は絶対に言わない」ということでした。
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by sanzhai | 2014-07-30 18:04 | 中国語の疑問や気づき | Comments(5)
2014年 07月 22日

“被〜把〜”

先週と今日の博士後期の授業では、邓思颖2004《作格化和汉语被动句》《中国语文》第4期という論文を読みました。生成文法の論文です。
生成文法の論文なので、微妙な例があるのですが、下の例はどうでしょうか。

张三被土匪把他打断了腿。
水被我把它浇了花。

このような“被〜把〜”の形、論文の中でも人によっては成立するかどうかで判断が異なると書いていますが、いちおう正しい文として議論が進められています。
やっぱり変な言い方なのではないかと思いますが、曹禺の次の例が引用されています。

你多半又叫什么女人把你迷住了。(曹禺《日出》)

ここの“叫”は、“被”と同じ受動を表す介詞として使われています。実際にはこのような言い方もするのですね。
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by sanzhai | 2014-07-22 17:20 | 中国語の疑問や気づき | Comments(2)
2014年 07月 20日

読書メモ

斜陽、太宰治、新潮文庫
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「昔読んだ文庫本電車内再読シリーズ」です。
名作だとは思いますが、やはり読んで暗澹たる気持ちになりますね。
この文庫本はたしか中学生の頃に読んだのですが、やはりなんだかショックを受けて暗い気持ちになったのを覚えています。でもこの内容、当時中学生の私は、どのくらい理解していたのだろうか。
「中学生のころ読んだ文庫本小説再読シリーズ」、今後も続けたいです。昔の文庫本は、字が小さいのが、老眼の身にはこたえますが。
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by sanzhai | 2014-07-20 23:52 | 読書メモ | Comments(0)
2014年 07月 15日

“负伤”と“受伤”

今日の大学院の授業で話題になったことです。
“吗”を使った“是非问句”と、“反复问句”の使い分けのことが話題になりましたので、以下の引用を紹介しました。

有时问话人从上下文或语境中能推测出答案,这时也一定用是非问句。例如:
甲: (捂屁股)哎哟!
乙: 负伤了吗?
上述句子不能用反复问句替换:
乙: *负没负伤?/*负伤了没有?
(刘月华1990《句子的用途》人民教育出版社,31页)

どちらの疑問文を使うかという非常に興味深い議論なのですが、今回はそれは置いておいて、ある中国人留学生が、上の例を聞いて、動詞が変だというのです。このような場合は“负伤”ではなくて“受伤”を使うべきだと。“负伤”と言うと、なんだか戦争で負傷したみたいだとのことでした。
上記の引用は間違いなく“负伤”が使われているのですが、個人差なのでしょうかね。それともこの本の著者は今となってはかなり年配の方ですから、“负伤”は年配の方がたの言い方ということなのでしょうか。
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by sanzhai | 2014-07-15 19:33 | 中国語の疑問や気づき | Comments(3)
2014年 07月 10日

「桝」

日本テレビの桝(ます)アナウンサー、この「桝」という字は日本の国字のようですが、中国語でこの人を紹介する時、どう読めばいいのでしょうね…。
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by sanzhai | 2014-07-10 23:29 | 中国語の疑問や気づき | Comments(0)
2014年 07月 08日

“请喝茶了!”

今日の大学院の授業で出た話題です。
肖治野、沈家煊2009《“了2”的行、知、言三域》(《中国语文》第6期)に、次のような例が出ています(521ページ)。

再见了!/保重了!/走好了!/请了!/拜年了!/对不起了!/没关系了!/咱们坐了!/请喝茶了!
这些句子都是日常交际习语,见面或告别的时候常说的,不加“了”也可以,只是生硬一点。

本当はまだ解説が続きますし、論文全体を読んで著者の意図を理解すべきなのですが、最後の“请喝茶了!”という言い方については、どういう時にそのような言い方をするのか想像できない、というネイティブの方の意見が出ました。かなり特殊な場面設定が必要なのかもしれませんし、そもそもこの言い方自体おかしいのでしょうか。
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by sanzhai | 2014-07-08 19:37 | 中国語の疑問や気づき | Comments(9)
2014年 07月 05日

朱徳煕『語法分析講稿』中の誤植?

ちょっと必要があって、以前読んだ朱徳煕の『语法分析讲稿』(袁毓林整理注释,商务印书馆,2010年)の一部分を再読しています。
そこで発見したこと。第四章「句法结构」を読んでいたのですが、126ページに以下のような箇所があります。
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全体の流れを読んでいないとわからないでしょうが、定義の説明を始める最初の“如果S1是S2的扩展式”のところ、読んでいて、その後の箇所とうまく論理が咬み合わないのです。
変な定義だなあ、おかしいなと思って、同じく朱徳煕の別の論文を確認しました。ご存知のように、「句法结构」といえば同著者の論文集『现代汉语语法研究』商务印书馆,1980年に同題目の論文が収録されています。こちらで同じ内容の記述があるのですが、こうなっています。
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こちらでは、出だしの定義の最初のところが、“如果S2是S1的扩展式”となっています。これだと、言っている定義が、はっきりとわかります。こちらの方が明らかに正しいのです。
『语法分析讲稿』は朱徳煕の北京大学での講義ノートを後年になって書籍化したものですが、なぜS1とS2が逆になってしまったのかわかりません。朱徳煕が講義ノート中で書き間違えていたのか、それとも、元々の講義ノートでは正しくて、書籍化にあたって誤植になってしまったのか。
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by sanzhai | 2014-07-05 15:07 | 中国語の疑問や気づき | Comments(0)