三宅登之 ― 文法を研究してますけど何か? ―

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2013年 06月 30日

読書メモ

言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学、西村義樹・野矢茂樹著、中公新書、2013年。
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中公新書の最新刊。新聞広告など見ていなくて、何にも知らなかったのですが、書店で見かけて秒冊で手に取りすぐにレジにお金を払いに行きました。
書名の「言語学の教室」というのは、ちょっと大きく構えすぎたタイトルという気がしないでもありません。むしろ副題の方が内容にぴったりで、要するに認知言語学の入門書の位置づけになると思います。
もうおもしろすぎて、電車で一気に読んでしまいました。
認知言語学の入門書、概説書はたくさん出版されています。この本は、認知言語学の考え方の核心が、実例とともに、とてもわかりやすく書かれており、個別の論文などで振り回されている人でも、そもそも認知言語学の考え方とは何かということを、再認識させてくれる本であると思います。
今後、学生・院生に、「認知言語学を勉強してみたいのだが、どのような文献を読めばよいか」と聞かれたら、この本だけではだめですが、読むべき本の中に必ずこの本を含めて勧めたいと思います。
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by sanzhai | 2013-06-30 21:33 | 読書メモ | Comments(0)
2013年 06月 25日

読書メモ

『津軽』、太宰治、新潮文庫。

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数日前に朝日新聞で、太宰治の特集がありました。それを読んで、また去年、高校への出前授業で青森の五所川原高校へ行き、翌日太宰治ミュージアムにも行ったことを懐かしく思い出し、電車の中で読みました。
内容についてはAmazonなどに書いてあるとおり。意外と、笑いが随所にあふれる、さわやかで明るいタッチの作品です。そしてクライマックスは、育ての親ともいうべき「たけ」と三十年ぶりに再会する場面。涙が出ました。(最近涙もろい。)
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by sanzhai | 2013-06-25 23:45 | 読書メモ | Comments(0)
2013年 06月 25日

可能補語の反復疑問文

今日3限の中国語教育法の授業で、可能補語の担当だった学生が出した、可能補語の反復疑問文の例です。

(1)这块表还修得好修不好?

「この時計はまだちゃんと直せますか?」という意味の、ごく普通の、可能補語の反復疑問文です。
ところが、中国人留学生から意見が出ました。(1)のような言い方は実際にはしないと。同じく出席カードへ(1)のようには言わないと書いた中国人留学生もいました。
その中国人留学生は、普通は(2)のように言うというのです。

(2)这块表还修不修得好?

2人の中国人留学生が(1)のようには言わない、(2)のように言うと指摘したことになります。

おかしいなと思って、次の4限の院博士後期課程の授業で、また別の中国人留学生2人に、どちらをよく使うか聞いてみました。そしたらなんと、言うことが全く逆なのです。4限の授業のほうの中国人留学生2人は、普通は(1)のように言う、(2)のような言い方はあまり聞いたことがないというのです。

このように、中国人同士で言っていることが違うと、外国人の私としてはお手上げなのです。
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by sanzhai | 2013-06-25 17:12 | 中国語の疑問や気づき | Comments(5)
2013年 06月 18日

“浅”“深”と「浅い」「深い」

今日の院博士前期の授業で読んだ、馬真先生の『现代汉语虚词研究方法论』の続きです。
268ページに次のような例文があります。

这本书还浅一点儿,那本书可深了。

ここも副詞“还”の議論のところなのですが、私が改めて気づいたのは形容詞のほうです。
私はこの例文を見て、一瞬油断して(笑)

「この本は(内容が)浅い、あの本は(内容が)とても深い」

という意味かと思ったのです。日本語では「(内容が)浅い」というのは、マイナスの意味で用い、逆に「(内容が)深い」というのは、プラスの意味で使います。
ところがこの中国語の例文の場合、そういう意味ではなくて、現代漢語詞典の該当する意味項目の説明を借りると、

浅=浅显
例子:浅易/这些读物内容浅,容易懂

深=深奥
例子:由浅入深/这本书很深,初学的人不容易看懂。

とあります。“浅”は「やさしい、わかりやすい」という意味、“深”は「奥深い、難しい」という意味なのですね。
日本語だと、「やさしくてわかりやすい」というと、良い意味、プラスの意味で使われており、「難しい」というと、マイナスの意味だと思うのですが、中国語としては著者の解説によると、この例文の“浅”も“深”も、プラスでもマイナスでもない、中性の意味だと言っています。

“这些读物内容浅,容易懂”と言った場合、わかりやすいと言っているのだから、褒义で言っているのか、それともあくまでも中性であって、そのようなプラスの意味はないのか、気になります。

あと、日本語の「この本は内容が浅いよ。」(内容がない、大したことは書かれていない、という悪い意味)というのは、中国語ではどう言うのでしょうか?
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by sanzhai | 2013-06-18 17:33 | 中国語の疑問や気づき | Comments(3)
2013年 06月 12日

“平”と「平ら」

火曜日の院博士前期で読んでいる『现代汉语虚词研究方法论』です。今週の授業でやった箇所に、次のような例文がありました。(266ページ)

地势看来也还平,可是从房顶上看起来,从西到东却是一道斜坡。

ここは“还”についての議論のところなのですが、私がこの文で気になったのは“平”です。
“平”は辞書を見ると「平らである」のような訳語がついているのですが、厳密に言うと両者は異なるのではないかと。
“平”の『現代漢語詞典第六版』の定義を見ますと(関連する意味項目のみ)

表面没有高低凹凸,不倾斜

とあります。前半はいいとして、“不倾斜”(傾斜していない、傾いていない)とあります。
だから上の例文が成り立つわけです。傾いていないように見えるけど、実際には斜面になっているじゃないかと。

日本語の「平ら」は

高低・凹凸のないさま。ひらたいさま。

とあります。(スーパー大辞林3.0)
中国語の“不倾斜”にあたる部分がありません。
日本語の平らは、でこぼこしていなければいいわけで、傾いた斜面でもいい、平らな斜面、平らな坂道といっても問題ないわけです。
一方中国語の“平”は、傾いていたらダメなようですね。
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by sanzhai | 2013-06-12 18:23 | 中国語の疑問や気づき | Comments(3)
2013年 06月 05日

「~していたことがある」

火曜日の院博士前期の授業で出た話題です。

日本語で例えば「私は(むかし)野球をやっていたことがある」という場合。
「ことがある」という経験相が出てきます。また、「やったことがある」ではなく、「やっていたことがある」ですから、進行相・持続相の「ている形」も出てきます。

これを中国語でどう言うか。

「野球をやったことがある」だと“我打过棒球”でしょうが、「やっていたことがある」だからと思い、進行の“在”や持続の“着”をつけて

*我在打过棒球。
*我打着过棒球。

は当然言えません。ではこの日本語のニュアンスを忠実に訳すにはどう言うか、中国人留学生に聞いたところ、

我打过一段时间棒球。

と言うのだそうです。
なるほどね。全く違う角度からの表現をするわけですね。
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by sanzhai | 2013-06-05 20:23 | 中国語の疑問や気づき | Comments(0)