三宅登之 ― 文法を研究してますけど何か? ―

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2011年 10月 31日

日本中国語学会第61回全国大会(学術編)

日本中国語学会第61回全国大会が10月29日(土)・30日(日)に松山大学で開催されました。私はその前日の28日(金)にも理事会があったので28日から行っていました。
http://www.chilin.jp/annual_meeting/program.html

1日目は午前中の評議会の後、午後はシンポジウム「漢語北方話的進行持続体」がありました。シンポジウムでは海外の超大物を呼んできてただその人の講演を聴くというのももちろんいいのですが、今回のようにあるテーマについて数名の報告者が様々な角度から報告をし、その後質疑応答をするという、ワークショップの拡大版のような形式も、議論が非常に面白く大変勉強になりました。

2日目は分科会。例によって時間帯によって教室を渡り歩き、いろいろな研究発表を聴きました。2つほど私が司会を担当した研究発表もありました。とても面白い発表もあれば、正直「?」となってしまうものも(例によって自分のことは棚に上げて言っています)。

「オイオイ、そりゃちょっとなあ…」と感じてしまった発表は次の2つのタイプがありました。(特定できてしまうと悪いのでぼかして書いています。)

・予稿集とパワポのスライドが内容に変更が多すぎるもの。予稿集は締切があってそこで審査されているのに、あまり変更してしまうのはルール違反でしょう。また、時間の関係で用例は一部分を抜粋して紹介するのはもちろんいいのですが、予稿集とパワポで使う例文の番号は統一してくれ~!ある同一の例文の、予稿集での例文番号と、パワポでの(つまり口頭で説明しているときでの)例文番号が異なっていると、聴衆は混乱します。

・明らかな準備不足。予稿集の原稿を出した後、実際の発表の準備をやっていないのではないかと思われる発表もありました。

ある発表の質疑応答のとき、方言研究で著名なある先生が、(シンポでの各報告にあったように)北方方言では進行を表す副詞“在”が用いられないものが多いのに、普通話で進行の“在”があるのは、南方方言の影響で、副詞“在”について“南方话的胜利”だとおっしゃっていたのが面白かったです。
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by sanzhai | 2011-10-31 23:11 | 日々の気づき | Comments(0)
2011年 10月 25日

マントー5つ

有一个初级课本上的例句:

“我今天中午吃了五个馒头。”

太多了吧!?谁能一顿饭吃五个馒头?我肯定吃不了。
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by sanzhai | 2011-10-25 00:45 | 中国語の疑問や気づき | Comments(5)
2011年 10月 25日

“认识”の訳し方

非常勤先で使っている教科書に、次のような課文があります。(一部のみ抜粋)

A:小王过生日,我们去他家。你也一起去吧。
B:好啊。可是我不认识他家。

この“我不认识他家”ですが、このような文脈で日本語でも同じように、

B:いいよ。でもおれ、彼の家知らないんだよな。

と、「彼の家を知らない」と言えそうですね。でもよく考えると、この場合の“认识”とは、目的語の「彼の家」の何の側面を“认识”と言っているのか。もちろんここでの「彼の家を知らない」は、「彼の家がどこにあるか知らない」とか、「彼の家にどう行けばいいか知らない」という意味で言っているわけです。
あと、『汉语动词用法词典』の、“认识”が場所を表す目的語を伴っている例は次の2つです。

认识王府井大街
认识北京大学

『现代汉语词典』の“认识”の定義が面白いです。
[动]能够确定某一人或事物是这个人或事物而不是别的。
「これはこれだ」というように他と区別できる、ということですよね。その定義と、場所を表す目的語をとった時の「その場所へどういけばいいかがわかる/わからない」というのが、直接は結びつかないような気がします。

(1)私は彼の家については様々な情報を知っていて、彼の家を他と見分けることができる。

(2)当然その情報の中には、彼の家がどこにあるかという位置の情報も含まれる。

(3)よって、「彼の家にどう行くか」という道順も当然知っている。

という、間に(2)のプロセスがあって、それが辞書的定義(1)と、ある文脈での意味(3)の間の橋渡しをしているような気がします。
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by sanzhai | 2011-10-25 00:11 | 中国語の疑問や気づき | Comments(0)
2011年 10月 23日

洗濯したら赤くなった

先週の大学院の授業でネイティブの人たちと話をしていて気付いたことのメモ。

まず、「動詞+結果補語」の動補フレーズについての朱徳熙の引用です。
尤其值得注意的是述语和补语的组合是及其自由的。例如“洗干净”是常说的,因为“洗”能导致的最自然的结果是干净。可是除了“洗干净”之外,也能说“洗脏、洗破、洗丢”,甚至还可以说“把我洗胡涂了”“把他洗哭了”。
(朱德熙1982《语法讲义》商务印书馆,127页)

因果関係があれば何でも組み合わせられるかのような記述ですが、そうでもないようです。
たとえば、白いTシャツを、買ったばかりの真っ赤なTシャツと一緒に選択したところ、その真っ赤なTシャツは色落ちが激しいシャツで、その赤い色が、一緒に洗った白いTシャツに色移りしてしまった。こういうことって、ありますよね。白いTシャツは洗濯した結果、赤くなってしまったのですから、こういう状況を

洗红了

と言えるんじゃない?と、ネイティブの皆さんに聞いてみたところ、迷わず「言えない」という回答が戻ってきました…。
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by sanzhai | 2011-10-23 22:15 | 中国語の疑問や気づき | Comments(1)
2011年 10月 22日

赤く染まりすぎる

先週の院博士後期で読んだ論文が、中川正之1987「中国語と日本語の形容詞――意図と結果――」『日本語学』10月号。

動詞+結果補語の“染红”には意味が2つあるといいます。
「赤く染める」
「赤く染まりすぎる」

昔読んだ時から、これで納得していたのですが、院生たちと改めてじっくり読んでみて考えると、「赤く染まりすぎる」というのは、どういう事態を指しているのか、ちょっとわからなくなりました。

私がずっと思っていたのは、同じ赤という色でも、薄い赤と濃い赤がありますね。何かを赤で染めた際に、本来だったらもうちょっと薄めの色でよかったのに、塗料を多く使いすぎたか何かで、非常に濃い赤に染まってしまったと、そういう事態かと思っていたのです。

でもネイティブの方たちによると、そういうときなら形容詞は「濃い」“浓”を使うだろうと。“染得太浓了”のように。ネイティブの方たちも、「赤く染まりすぎる」というのがどういう事態なのか、いまいちよくわからないと言っていました。
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by sanzhai | 2011-10-22 14:50 | 中国語の疑問や気づき | Comments(2)
2011年 10月 21日

看板の日本語表記

電車の駅の近くにある電気系統の機械のようなものが入っている場所に柵があって、子供が中に入らないようにするための看板があります。
e0145687_162513.jpg

この文面の下に連絡先電話番号が書いてあるのですけどね。
子供向けだというのは、ひらがなが多用されていることからわかります。しかし小学生に直されそうだぞ。

最初の行では「このなかは~」とあって、下のほうでは「中に入らず~」「中に入れておきます」。
 → 「なか」 と 「中」 が混在しています。

また、最初で「ボールなどがはいったら~」と書いておいてすぐ次に「中に入らず~」。
 → 「はいる」 と 「入る」 も混在しています。

ふだん原稿書きが仕事の一つの私なんかは、なんで看板に清書する前に文面原稿を校正しなかったかなと思ってしまいます。

あと、最初の行で「きけんなばしょです」の箇所が括弧でくくってあるのも、意図がわかりません。「きけんなばしょ」をくくるなら、まだわかりますが。
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by sanzhai | 2011-10-21 16:14 | 日本語や英語について | Comments(1)
2011年 10月 18日

“还是~,还是~?”の選択疑問文

今日の院博士前期の授業。テキスト『现代汉语虚词研究方法论』(马真)に、次の例が出ています(80ページ)。

你还是先吃饭(≠还是你先吃饭),还是先洗澡?

()の中はこの文ではそのようには言えないという例で、記号は「≠」は誤解を招くので「*」のほうがいいと思うのですが、それはいいとして、もともと言えるとされている、“你还是先吃饭,还是先洗澡?”という選択疑問文、これ自体が言えない、このような言い方は聞いたこともない、というネイティブの方がいました。

確かに、選択疑問文は、

A,还是B?
是A,还是B?

の形はよく目にするものの、

还是A,还是B?

と、“还是”を2回繰り返す言い方は、あまり目にしないような気がします。
しかし工具書などには、このタイプの選択疑問文も探すといくらでも例が出ています。

张斌主编2001『现代汉语虚词词典』商务印书馆229ページで、まず“A,还是B?”“是A,还是B?”のタイプを紹介した後、

有时前后小句都用“还是”。
还是上午去呢,还是下午去呢?
还是先去小王家,还是先去小李家?
去武汉,还是坐火车,还是坐轮船,还是坐飞机?

とありますので、この説明の“有时”あたりが実態を示しているのかもしれません。でも今日のネイティブの方は「言わない」と主張されていましたが。
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by sanzhai | 2011-10-18 20:49 | 中国語の疑問や気づき | Comments(3)
2011年 10月 17日

“不能不”の2つの意味

『现代汉语八百词(增订本)』の415ページに、次のような説明と例が掲載されています。

‘不能不’表示必须、应该。不等于‘能’。
因为大家不了解情况,我不能不说明一下
为了提高效率,我们不能不改变原来的计划
这件事他不能不知道吧?

説明によれば、“必须、应该”の意味だと言っているわけですから、“不能不”が「~せざるをえない」という意味だと言っているわけですね。
さて、その下に例文が3つ並んでいます。最初の2つの例文は「~せざるをえない」という意味で何の問題もありません。

問題は最後の例文“这件事他不能不知道吧?”です。この文は、“必须、应该”の意味、つまり「~せざるをえない」という意味では、意味が通りません。「この件は彼は知らざるをえない」??

やはりこの文は、“能”は可能性があるという意味で、「この件は彼は知らないはずがないでしょう」でしょうね。ちなみに東方書店から出ている日本語訳でも、そのような「知らないはずがない」という訳になっています。

そうすると、八百詞は、なぜ語釈と異なる例文を1つだけ混在させているのか。

また、「知らないはずがない」でしたら、

这件事他不会不知道吧?

のように、“不会不”のほうも使えて、この意味ならこちらのほうがよく用いられると教えてくれたネイティブの方もおられます。

さてところが、『现代汉语词典』の“能”のところに長い注意書きがあって、そのc)に以下のように書いてあります。(990ページ)

跟“不···不”组成双重否定,“不能不”表示必须,“不会不”表示一定,如:你不能不来啊!/他不会不来的。在疑问或揣测的句子里都表示可能,如:他不能(会)不答应吧?

疑問や推測を表す文の中では両者の意味が一致するということなのでしょうか。そうすると八百詞の例文はやはり3番目も他と異なってはいないということか。
ちょっとわからなくなってきました。またこんどじっくり考えてみましょう。
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by sanzhai | 2011-10-17 17:46 | 中国語の疑問や気づき | Comments(2)
2011年 10月 15日

おいしい

以前コーヒーで「おいしい」の訳が変な中国語になっている看板がありました。
http://sanzhai.exblog.jp/14575785/

これは大丈夫だね。
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しかし朝鮮語はいろいろと書いてあるのに、中国語は“很好吃”だけなのはなぜ?どうでもいいけど。

どなたか朝鮮語わかる方、いろいろ書いてある朝鮮語は何が書いてあるのかご教示いただけますとありがたいですが。
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by sanzhai | 2011-10-15 13:01 | 中国語の疑問や気づき | Comments(2)
2011年 10月 14日

読書メモ

现代汉语形容词功能与认知研究,张国宪 著,商务印书馆,2006年。

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いや、読み終わるまで時間がかかりました。ずっと長い間カバンに入っていました。
もっと早く読めばよかった。形容詞の研究といえば、朱德熙1956「现代汉语形容词研究」が出発点となりますが、本書は、形容詞について研究をしてみたいと思った場合、必ず読むべき本であると言えるでしょう。全10章で形容詞を様々な角度から分析しており、理論的深みがあるだけではなく、理論だけが独り歩きしないだけの豊富な言語事実の提示で、極めて説得力を持つ論旨となっています。おすすめです。

ちなみに、巻末の参考文献リストの中で私の論文が2回(429ページと430ページ)登場しますが、全く同じ論文ですので、単にダブってしまった間違いだと思います。
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by sanzhai | 2011-10-14 15:23 | 読書メモ | Comments(0)