三宅登之 ― 文法を研究してますけど何か? ―

sanzhai.exblog.jp
ブログトップ

<   2008年 10月 ( 17 )   > この月の画像一覧


2008年 10月 30日

読書メモ

外国語学習の科学――第二言語習得論とは何か、白井恭弘著、岩波新書、2008年

最近出た岩波新書で何の気なしに買って読んでみたが、非常に面白かった。
目次はこんな感じ。外国語の勉強や教育にかかわっている人にとっては興味深く感じられるであろう話題が並んでいる。

第1章 母語を基礎に外国語は習得される
第2章 なぜ子どもはことばが習得できるのか
     ――「臨界期仮説」を考える
第3章 どんな学習者が外国語学習に成功するか
     ――個人差と動機づけの問題
第4章 外国語学習のメカニズム
     ――言語はルールでは割り切れない
第5章 外国語を身につけるために
     ――第二言語習得論の成果をどう生かすか
第6章 効果的な外国語学習法

著者は第二言語習得(Second Language Acquisition)の専門家で、この分野でも膨大な先行研究の蓄積があることが垣間見れて圧倒される。この本のいい点は、ある特定の説だけを読者に押し付けるのではなく、様々な説を公平に広く紹介しているところだと思う。
私も一語学教師なので、非常に考えさせられた。
来年度の中国語教育法の授業のシラバスを書くときには、この本を参考文献に加えようと思っている。
[PR]

by sanzhai | 2008-10-30 10:48 | 読書メモ | Comments(3)
2008年 10月 28日

ルーツ元監督

元広島監督、ルーツ氏が死去したそうだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081028-00000008-nks-base
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081028-00000010-spn-spo

若い人は知らないだろうなあ。
昔、そう、私が小学生のころ、広島カープは紺色の帽子だった。そのころはお荷物球団と言われていたかどうか、当時は子供だったからよくわからないが、とにかく弱かった。
75年に大リーグ出身の外国人で初めて監督に就任、帽子を現在の赤に変えた。(「赤ヘル」は現在に続いている。)
途中で古葉監督に代わり(記事を読むとすぐに交代してしまったのですね)広島はその年に初優勝したのである。
そう、ルーツ氏は間違いなく広島初優勝の礎を築いたと言える。寂しい限りだ。合掌。
[PR]

by sanzhai | 2008-10-28 23:59 | 日々の気づき | Comments(0)
2008年 10月 27日

読書メモ

汉语实词语法功能考察及词类体系构建,徐艳华著,中国社会科学出版社,2007年

内容紹介に“本书主要以计算机为服务对象,以语料库为信息源~”とあるように、“现代汉语语法”というよりも、“计算语言学”の本。ひたすら機械的に細かい分類を繰り返していく手法はついていけず…。

しかし、前のエントリーで書いた日本中国語学会のシンポジウムで以下の記述の内容を例として利用させていただいた。(シンポジウムを聴かれた方、この本がネタ本です。)

名词的主要语法功能是作主语、宾语、定语等,而上文提到的“期间”一词的这三个功能的概率都为0,而作名词性偏正结构中心语的概率为100%,像这类不具备某类词的主要功能的词语又是依据什么被归到类里的呢?这是目前的词类体系无法解释的问题。另外,即便是同一词类的成员,其功能频率也可能相差很大。如“电子”作定语的概率为99%,而“帷幕”作定语的概率只有1%,作宾语的概率为90%。(7页)
[PR]

by sanzhai | 2008-10-27 22:55 | 読書メモ | Comments(0)
2008年 10月 27日

日本中国語学会第58回全国大会

日本中国語学会第58回全国大会が10月25日(土)・26日(日)に京都外国語大学で開催され、京都に出張してきた。

25日(土)
朝4時半に起床、7時ごろ品川発の新幹線で京都へ。いつもの年ならこんなに早い時間にいかなくても良かったのだが、現在は学会のウェブリソース委員というのをやっているため、午前中に評議会があり、これに出席。その後の昼食の席で「三宅さんちょっと話があるんだけど…」と声を掛けられ(←こうなるとたいていろくなことはない)仕事が舞い込んできたことはここでは書かない。(←ちょっと書いている。)

午後は招待講演とシンポジウムがあった。シンポジウムが「中国語学習辞典の今後」と題する辞書に関するもので、パネリストの報告の後に私を含め3名がコメンテーターとしてコメントした。もうちょっと詳細が事前にわかっていれば、私も資料はパワーポイントで提示したかったが、話も席のポジションも中途半端。(もちろんシンポジウムそのものは楽しかったです。)

そしてまたいつもの年だと不良の私は学会の懇親会には出席せずに、数人の友人たちと夜の街にくりだし一杯やるのだが、今年はたまたま周りが「懇親会に出席するよ」という人や「今年は学会に参加できないんですよ」という人ばかりだったので、私も当日申し込みで懇親会に参加した。いろいろな人と話ができて楽しかった。(N大学のFさんにも久々に会えたし。)また、出版業界の人たちもたくさん参加されていて、名刺がたまった。

懇親会後は鉄道での行き方がよくわからなかったので距離的にはすぐなのでタクシーで事前に予約してあったしょぼいビジネスホテルへ。(「無料朝食付き」とかいって、この朝食もしょぼかったことはここでは書かない。)(←書いている。)

26日(日)
研究発表の日。近年発表数が増加していて、今年はなんと8つの会場で同時進行で9時20分から16時40分までびっしり。発表数が増えていろいろな発表が出てくるのは喜ばしいことではあるが、聴きたい発表が同時間帯に2つの部屋であったりすると、体は1つしかないので、片方しか出られず、もう片方は聴けないということが、今回はいくつかあった。これはちょっと残念。
午前から最後まで合計12の研究発表を聴いたが、どれも面白かった。(眠くなった発表は1つだけであった。)「面白かった」というものの中には、発表自体非常に優れていて、研究上のヒントになったものもあれば、発表自体には問題点が多くあるのだが、いろいろ考えるきっかけを与えてもらったものもあった。そういう広い意味での「面白かった」である。

また、最近学会の感想でいつも書いていることだが、発表時間20分+質疑応答10分という時間配分だが、思い切って質疑応答の時間配分を多くしてみたらどうだろうか。(←誰に対して言ってるんじゃ。)やはり学会発表では質疑応答でのやりあいこそが最も面白い。(今回も中には頓珍漢な質問を出したり、また発表者と質問者の議論がまったくかみ合っていなかったりしたものもあったが。)

またいつも書いているが今回も書こう。学会は私にとって至福の時間である。普段の雑務を忘れて、研究の上でのヒントとエネルギーをもらえるのだ。今年も発表した皆さんからたくさんのエネルギーをもらった。また来年度までこのエネルギーで1年間の雑務を乗り切ろう。(1週間くらいで使い果たしてしまいそうですが…。)

来年度の全国大会は北海道大学(^^)。入試業務と重ならなければよいが。
[PR]

by sanzhai | 2008-10-27 16:17 | 日々の気づき | Comments(0)
2008年 10月 24日

“借光”の使い方

李临定1990『现代汉语动词』で火曜日4限にもう1つ問題になったこと。

離合動詞のところで“借光”が例として挙がっており、これは以下の2つの言い方の両方とも成立するという。(115ページ)

a.借光您了
b.借您的光

「おかげ様で」というような意味だろうが、ネイティブ2人が、a.のような言い方はできないと言っていた。確かに辞書を引くと、どの辞書もb.“借您的光”のような形の例を載せている。
[PR]

by sanzhai | 2008-10-24 17:05 | 中国語の疑問や気づき | Comments(0)
2008年 10月 23日

“给他告状”の問題について(続き)

(前回の続き)さて、この問題については朱德熙1982『语法讲义』の言っていること(10.6.4.)が想起される。以下に引用する(147ページ)。

―――――
“说坏话”不能带宾语,所以没有“*说坏话某人”“*说坏话他”的说法。要让受事在句子里出现,可以有以下三种办法∶
(1)让受事作为双宾语构造里的近宾语出现∶说他坏话。
(2)用介词把受事介绍出来∶给他说坏话。
(3)让受事作为准定语出现∶说他的坏话。
―――――

そしてその次にこの3つのパターンの例をいくつか挙げているのだが、介詞“给”を使う言い方が存在する例として、上記の“给他说坏话”以外に、“给我开玩笑”と“给我帮忙”の2つを挙げている(147ページ~148ページ)。

ここで重要なのは、“给他说坏话”の“他”、“给我开玩笑”の“我”、“给我帮忙”の“我”を、朱德熙は動作の受け手という共通した意味役割として扱っているという点である。つまりこの点においては、朱德熙の言っていることと、前のエントリーで書いた李临定の言っていることは、一致していることになる。
そして複数の(といっても2人ですが)中国人が、このような“给”が動作の受け手を導いているとは考えられないと言ったわけである。(もちろん、彼らは李临定の例について言っただけであって、上記の朱德熙の例についても同じ判断を持つかどうかはわからないが。)

ちなみに朱德熙の挙げる“给我帮忙”という言い方については、そもそもそのような言い方を普段あまりしないというネイティブがこれまでに何人かいた。
[PR]

by sanzhai | 2008-10-23 23:31 | 中国語の疑問や気づき | Comments(0)
2008年 10月 21日

“给他告状”の意味

4限の院博士前期の授業で読んでいる李临定1990『现代汉语动词』。
今日は離合動詞のところを読んでいて、著者が次のように述べている箇所があった。

“告他的状”相当于“给他告状”(116ページ)

“告他的状”は「彼を訴える」ということだから、李临定の説によると、“给他告状”も

彼を訴える …… ①

という意味で、“给~”は「~を、~に対して」と動作の対象を表しているということになる。
ただ、“给~”には「~のために、~に代わって」という受益者を導く用法もあるので、“给他告状”には、

(彼のために、誰か別の人を)訴え(てあげ)る …… ②

という意味も考えられる。“给他告状”には①と②の2つの意味がありうるのではないかと、今日の授業で中国人に聞いてみたところ、“给他告状”は②の意味しかない。①の意味にはならないという、李临定が言っていることと全く異なる意外な回答だったた。
[PR]

by sanzhai | 2008-10-21 23:04 | 中国語の疑問や気づき | Comments(3)
2008年 10月 20日

公開講座で辞書の話を

公開講座で辞書のお話をすることになりました。

―――――
東京外国語大学語学研究所
2008(平成20)年度公開講座「新・世界の辞書」
日時:10月24日~11月28日の毎週金曜日(全6回)
時間:19:00~21:00(各回とも)
場所:本郷サテライト(東京都文京区本郷2-14-10)
受講料:9000円(全6回)
----------
第2回 10月31日(金)
中国語辞書:「語の分類と格闘する中国語辞書―中国語辞書における品詞表示をめぐって―」(講師:三宅 登之)

概要:
 英和辞典などを開くと,それぞれの語に名詞・動詞などの品詞表示がされていますが,中国語の辞書の世界では,語に品詞表示が付され始めたのはごく近年のことです.中国で出版されている最も中国語の規範となる辞書『现代汉语词典』でも,2005 年に発行された最新の第5 版より以前の版では,品詞名が付されていませんでした.日本でも最近は様々な出版社から多くの中国語の辞書が出版されていますが,複数の辞書を比べると,ある語の品詞が辞書によって異なっているようなことは,決して珍しくありません.
 語の形態変化のない中国語では,ある語の品詞の確定が困難なことはしばしば起こります.“研究”という語は「研究する」という動詞と「研究」という名詞があると単純に考えてよいのか,“疼”という語は「痛い」という形容詞なのか「痛む」という動詞なのかなど,意味に基づいて品詞を割り振っていこうとすると,すぐに壁に突き当たります.
 このような中国語の品詞分類が抱える困難な点は,実は中国語という言葉自体の性質に起因しています.本講座では,なぜ中国語という言葉においては品詞を統一的に分類するのが困難なのかについて解説し,主に日本の出版社が出している様々な中国語の辞書が,実際に品詞分類を行うに当たってどのような対処をしているかについて,具体的な実例を見ながらお話ししたいと思います。
―――――

詳しくは
http://www.tufs.ac.jp/common/fs/ilr/contents/koukai_kouza_2008.html
をご覧ください。
あっ、ここまで書いて思ったのですが、これって事前申し込み制なのですね。PRしてもしかたないか…。
[PR]

by sanzhai | 2008-10-20 15:40 | 中国語の疑問や気づき | Comments(0)
2008年 10月 17日

r化の区別

読書メモで書いた以下の2つの音の区別だが、

歌儿gēr / 根儿gēnr

色々な場で中国人に聞いているが、両者は異なる音であるという、皆さん異口同音の反応である。
ついでに聞いてみた

爷儿yér / 姨儿yír

も同様である。
今日非常勤先の講師室で、中国人の先生に両者をはっきり発音してもらったら、確かに違いは聴き取れた。
ただ、両方とも読むのではなく、どちらか一方だけを早口でパッと読まれたとき、どちらを読んだのかを判断するのは、まだちょっと自信がない。

関係ないが、英語の「耳」(ear)と「年」(year)だって、単独でパッと読まれたとき、絶対間違えずに聴き取れるかと言われると、ちょっと自信がない。別に言われてないか。
[PR]

by sanzhai | 2008-10-17 17:42 | 中国語の疑問や気づき | Comments(0)
2008年 10月 16日

今日はたくさんの用事をこなしたなあ(汗)

今日大学でひたすら何をやったかを思い出してみると…

・学生が来て留学の相談
・学生が来て卒論ゼミガイダンス
・学生が来て小テスト追試
・教務課に行って打ち合わせ

これらは比較的「小物」だ。結構大物だったのが、

・カリキュラム関係で教務課に提出するもの提出

エクセルの表を睨みながら、ひたすら確認・修正していく。これはかなり時間がかかった。最後は頭が混乱してきたが、何とか完成し提出。締め切りが近くなりずっと気になっていたので、提出して一安心。
そして上記の合間合間にやったことが、

・メール

様々な事務連絡等をメールで書いて出したり、来たメールに返事を書いていたりすると、あっと言う間に時間が過ぎる。(こうして今日もまた論文作業は全く進捗しなかった。)
[PR]

by sanzhai | 2008-10-16 23:45 | 日々の気づき | Comments(0)