三宅登之 ― 文法を研究してますけど何か? ―

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2009年 09月 29日 ( 1 )


2009年 09月 29日

読書メモ

实用对外汉语教学语法,陆庆和 著,北京大学出版社,2006年

電話帳のようなこの本、ずっとカバンに入っていて重かったですが、長くかかりました。京都出張の新幹線内でかなり一気に読みました。

“对外汉语教学”の文法書と銘打っていても、どこが対外漢語なのかよくわからない本もありますが、この本はよくその特徴が出ています。前半が品詞論、後半が文成分と特殊構文の章が並びますが、それぞれの章に、解説の後に外国人留学生の誤文分析の節と、教学上の提言の節がついています。まあそこも面白いのですが、この本の圧巻は、大量の解説と例文でしょう。
この特徴は特に前半の品詞論の解説で顕著です。一例を挙げると、“进行”“加以”などの形式動詞の比較分析だけで6ページ(しかもコーパス調査結果の注釈つき)。可能を表す助動詞“能”“可以”“会”の分析だけで9ページ。介詞“对”と“对于”の分析だけで5ページ、“向”とどう違うのか調べようとすると更に5ページと、怒涛の記述です。先行研究をフォローした多くの注釈がついているし、各章の最後にはその章の分野の参考文献リストが。裏表紙に“可供对外汉语教师教学与研究时参考”とあるように、例えば初級レベルの留学生がこれを直接読んで中国語の勉強をするような本ではありません。

全体を通して流れている思想は、コーパスなどを調査した結果としての使用頻度を非常に重要視しているということです。詳細な使用頻度の注釈はとてもためになります。また、例文に時々付されている、「この文は実は多くはこういう意図で使う」というさりげないコメントも、外国人である私にとっては「へ~そうなんだ」と驚くものもありました。

怒涛の解説と例文、今後レファレンス的に使う本として、刘月华等2001『实用现代汉语语法(增订本)』(商务印书馆)と同じくらい役に立つ本になるのではないかと思います。
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by sanzhai | 2009-09-29 13:43 | 読書メモ | Comments(0)