2009年 11月 27日
その言い方が人を怒らせる――ことばの危機管理術、加藤重広 著、ちくま新書、2009年 ちくま新書の最新刊。この書名を見ただけでは、私個人はたぶん買わなかったと思うのですが、著者の名前を見て買いました。加藤重広先生は、日本認知言語学会第9会全国大会(2008年)のシンポジウムで、「語用論から認知言語学を見る」というタイトルのお話しをされた方で、覚えていました。著者紹介を見ますと、私と同年代の先生ですね。 読んでいて最初のうちは「言葉遣い入門」みたいな印象で、正直「?」という感じだったのですが、読めば読むほどどんどんに引き込まれました。日本語の普段の何気ない様々な言い方、それがその場でどのような効果を出すか、そしてそれはなぜかという分析は、語用論が専門ではない私にとっては大変新鮮でした。 「お疲れさま」と「ご苦労さま」がどのような違いがあり、それはなぜかという語用論的分析、「そうです」と言うと不自然で「そうですね」と言わなければならないケースと、その裏にある日本語のメカニズム、談話標識としての「ていうか」や「まあ」の使い方など、日本語ネイティブとして普段話してはいるけど、読んでみて思わず納得のためになる話が満載でした。 語用論をやりたいという人に、概説書を読むのももちろんいいけど、日本語の実例を分析した本として、ぜひ推薦したい本です。
by sanzhai
| 2009-11-27 00:44
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